すっかり初夏の空気ですね。
毎年これくらいの時期になると、今年の夏はどこの山に登ろうか、会社の山岳部の間で話題になります。
今回ご紹介したいのは、「街と山のあいだ」(若菜晃子著)。
山と山にまつわるエッセイ集です。
都市に住み、働くわたしにとって、山登りは心と身体の解放の手段です。
いつもは見かけない植物や広い空、開けた眺望と周囲に見える山々の風景。
山での出会いも…普段とはちがう時間を噛みしめる夏山のひとときが心を膨らませてくれます。
そして、ひたすら登り続けて登頂、その後は足を踏ん張って下り続け、麓に帰ってきたときの達成感が身体を解放(というよりもぐったり疲労ですが・・・)してくれます。
−(引用)山に登っていてしんどいのは、登り始めだ。街の暮らしでなまった体やよどんだ心が重く、自分で自分をもて余してしまう。−
山から都市に戻ってきたら、見える都市の景色が少し違っていたりします。
この本は、まさにわたしのように、都市から山へ通う(わたしは年1くらいですが)筆者の体験が綴られます。
−(引用)自然は街のなかでも私たちとは違う時間の流れを生きていて、そのことをいつも黙って伝えている。−
筆者が感じる思いに共感しながら、山登りを想像すると、家に居ながらにして心の解放が感じられる気がするのです。
今年の夏も、南か北か・・・アルプスの山に登りに行けることを願いつつ、この本を読んで山を想像してみようと思います。
ぜひ一度、山に登ってみてから読んでみてほしい本です。
(ま)